宇島鉄道研究会では、昨年(2016年7月〜8月)の展示会に続いて、今年(2017年)も11月23日〜12月10日まで、
福岡県築上郡上毛(こうげ)町の「げんきの杜(もり)」にて宇島鉄道展を開催しました。
今回の展示の目玉の一つとして、Oナローのコッペルと客車の展示・走行があります。
そこで、コッペルと客車に加えて、お立ち台としてのジオラマが有った方がよいと考え、
開催前の1ヶ月間でバタバタまとめました。
宇島鐵道の工事設計書は軌条関係も文字としてスペックは残っているのですが、形式図や線路敷設図などの図面関係は、
研究会のメンバーが国立公文書館や他を当たっても見つからないそうです。
わずかに、無蓋貨車と中唐原の引っ込み線の配線図が残っているとのこと。
その図面を基に、ほとんど想像でまとめました。
中唐原停車場は駅舎もなく無人で、簡単なホームがある程度ですが、材木などの出荷のため貨物測線があり、
倉庫も有ったと推定しました。
そこからジオラマの大きさは、600mm×420mm×5mm(ベース厚さ)ほぼA2として、
そこには分岐器と倉庫を設置しました。
スペースが小さいので、分岐器は5番として、#70の5番ポイントは篠原から発売されていないので、
#70引き抜きレールから自作しました。今時分岐器を自作する方はまれだと思いますが、
こんなことをやっている者がいるということでご容赦願います。
5番分岐器の寸法は、TMS182号の相談室と184号のレイアウトルームのを参考にしました。
分岐器のノーズやトングレールは、超硬刃をセットしたミニサーキュラソーで削ったので、
ヤスリがけは少なく楽をしました。(0.5mmの真鍮板にレールを半田付けしてミニサーキュラソーでカットしました。)
トングレールは、ベーク板に左右絶縁してネジ止めして、倉庫内に設置したスイッチで
選択式・非選択式のいずれにも対応できるようにしています。
ノーズはクロッシング部分をリードレールから絶縁して、その部分のみポイントの切り替えに
対応した自作のスイッチで切り換えして、絶縁区間を無くしました。
分岐器が脱線器にならないよう、トラックゲージやノギスを使って慎重にスパイクしました。
バックゲージは14mm、フランジウエイは1.25mmとしています。
トングレールの転換は、篠原のダイキャスト製だるまを使いました。
16番用ですが、大きいので、Oスケールでもちょうど良い感じです。
軌条は先の工事設計書を参考にして、2.5mmの道床の上に、ベニヤ板から32mm×3.5mm×2.5mmに切りだした枕木を、
ピッチ13.5mmで敷設し、バラスを希釈した木工ボンドで固着。
レール側面は、田宮エナメルのウッドブラウンとフラットアースを混ぜたものを筆塗りしてます。
エンドレス部分は、手持ちの古いエンドウ社の金属製16本組(R600)レールを使ったので、ジオラマとの接続部に#70と#100の変換部分を設けて、
ついでに一部にギャップをつけて、エンドレスを1周する度に停止するようにしました。
倉庫は写真も図面も無いので、「私が見た特殊狭軌鉄道 第4巻」今井啓輔著のP50にある井笠鉄道、七日市停車場の
貨物上屋がよさげですので、それを参考にでっち上げました。
寸法は、288mm×144mmです。
壁は厚さ2mmのボール紙を使用して、補強を最小限にし、腰部には経木を貼って板張りを表現。
貨物用として両開きの扉を二ヶ所、人が出入りする扉を一ヶ所、共に経木を一枚一枚貼って羽目板を表現してます。
半分は吹きさらしなので、小屋組も4mm角のヒノキ棒でそれっぽく作りました。
小屋組は実寸大の図面を方眼紙に書いてその上に透明プラ板をおいて、その上で組立て木工ボンドで接着しました。
屋根はトタン葺きで、Oスケールのトタン板の手持ちがないので、カレンダー紙に筋をつけてトタンを表現。
マッハ社のキーストンプレートのピッチがちょうど良かったので、それを利用しましたが、2日間ほどトタンの筋つけにかかりました。
トタン板は、ベニヤ板に貼って屋根を形成し、倉庫の部分、屋根の部分がそれぞれ分解できるようにしています。
因みに倉庫の中には、スイッチを仕込んで、選択式と非選択式を切り替えられるようにして将来DCCに対応できるように考慮しました。
塗装は、木材部は主にエコーのSTカラーを希釈して染めてから、田宮のエナメル(バフ)で軽くウエザリング。
倉庫の白壁部はクレオスの白に数滴のグレーを混ぜて、同じくウエザリングしています。
屋根はマッハのつや消し黒を吹き付けた後、本物の標識灯を磨いたとき発生した錆をまぶしています。
地面は、ベニヤ板の段差を紙粘土でなだらかにしてから薄めた木工ボンドを撒いた上に、TOMIXやウッドランドシーニックの
パウダーやターフ、さらに蚊取り線香の灰を撒き、その後、フォーリッジやコースターフ、ライケンを接着しました。
踏切は、線路間を2mmのヒノキ角棒で埋めてガードレールを設置、地面とレールとの繋がりは1mmのボール紙に経木を
貼ったもので作成しました。
経木を貼ったものは、薄めた木工ボンドで灰やパウダーを撒くと水で経木がぶよぶよになり浮いてしまって失敗でした。
最後は、ウッドランドシーニックのファインリーフフォーリッジを3本植えて時間切れとなりました。
展示会では、16本組金属道床レールでエンドレスを作って、DC電源による周回走行では、1周毎にギャップで止まり、
スイッチで再スタート。さらに切り替えスイッチで手回し発電による走行も可能としていて、お子様に手回し発電でコッペルを走らせてもらいました。
走行時に蒸気機関車のドラフトサウンドがないと寂しいので、当初、昔のバンブー商会のワム90000(1/80)をつなげていましたが、
サイズが異なるので、急遽2日間で有蓋貨車をでっち上げ、内部に30年前の天賞堂社のSLミニサウンドを組み込んで音源としました。
足回りはバンブー商会のワム90000を切り接ぎして、上回りは、0.4mmの真鍮製の枠にエコーのSTウッドを貼って木製車の感じを出しました。
内枠を真鍮としたのは接着剤が乾燥する時間を短くしたいのとウエイトの代わりです。
音がすると喜んでもらえて、作って良かったと感じました。
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展示会には計430名、来場され、遠くは福岡県の水巻、朝倉、大分県の日田市、大分市から来られた方もおられました。
新たな情報や写真も見つかり今後の研究に弾みがつきそうです。
さらに月刊誌の「とれいん」2017年11月号に、宇島鐵道のコッペルと客車の記事を掲載してもらいましたので、
今回の展示会と合わせて、宇島鐵道の認知度が向上するとうれしいです。
you tubeに動画をアップしています。
開けないときは、ここをクリック、宇島鐵道コッペル動画その1(中唐原停車場_通過)
開けないときは、ここをクリック、宇島鐵道コッペル動画その2(中唐原停車場_通過)
ここをクリック、宇島鐵道コッペル動画その3(中唐原停車場_通過)
このジオラマが、模型の月刊誌「とれいん」の2018年8月号に掲載されました。
掲載された画像は、こちらで撮影したものを編集部に送付したものです。
ジオラマを現地へ持込、方角を合わせて撮影したので、宇島鐵道が営業当時の光線状況です。
最後は撮影状況
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